この本は2015年に出版されたアクティブラーニングについての本。
当時、文部科学省から‘アクティブラーニング‘という言葉が出てきて、大騒ぎになりました。
そこから、さまざまな手法論が出てきて、本質ではないものも、多く出てきました。
そのため、次期指導要領の改定には、‘アクティブラーニング‘という言葉ではなく、‘主体的対話的な深い学び‘という表現に変わりました。
アクティブラーニングというコトバが悪いわけではないと思っています。
個人的にはすごく好きなコトバで、むしろ、普段からアクティブラーニングをすごく意識しています。
この本の中には、まさに、‘学び‘について、受身的な学びではなく、主体的な学びになるためにはどうすればいいのか?という、根本的な内容が詰まっていました。
その中から共感した内容をご紹介します。
筆者の意図を感じる〜その1 授業と生徒を変える
私自身も公立の学校へ仕事で訪問しますが、‘教える‘がメインの教室を感じます。
‘先生が教える‘ということを否定しているわけではありません。
教えることが必要な場面もあります。
でも教えるだけでは、学びは深まりません。
この著者も、アクティブラーニングがたの授業を実践する前は、『居眠り防止』が最大のテーマだったそうです。
少しずつ授業スタイルを変える中で、生徒に『リフレクションカード』を書いてもらうことによって授業感が変わったそうです。
・先生に教えてもらうより、自分でわかる方がうれしい
先生としては、『物理の楽しさを語り、難しい問題を黒板で解説することが好き』と思っていたが、生徒は『それよりも自分でわかる方が良い』と言うそう。
これがまさに、先生が、生徒の学びに気づいた瞬間だなと思います。
そうして、授業のスタイルを変えていき、生徒が『友達に教えるともっとよくわかる』ことを目指していったそうです。
ラーニングピラミッド
授業改善の背景の一つとして書かれていたのな、ラーニングピラミッド。
有名な研究結果ですが、改めて納得しました。
学習して記憶に残る割合がピラミッド型で表現されています。
上から順に
聞いたとき(5%)
見たとき(10%)
聞いて見たとき(20%)
デモンストレーションを通して(30%)
話し合ったとき(50%)
体験したとき(70%)
教えたとき(90%)
つまり、筆者がこれまで重視していた教えるでは、ほとんど記憶が残らないということに、衝撃を受け、授業の改革をされます。
学びを提供する場を作るときには、最終、受講者同士が教え合う場までいくことを目指したいところです。
学習する場に必要なのは安心安全な場づくり
まさにファシリテーターとして作りたいのが、安心安全な場。
ここでは、プロジェクトアドベンチャーという教育技術の図を引用されていました。
その図は、気づきを得るための環境を示していて、全体が‘パニックゾーン‘で、だ円の外側が‘‘ストレッチゾーン‘でその中に、‘コンフォートゾーン‘があるという図。
気づきを得るためには、パニックゾーンにいないといけません。リスクを犯さないと得るものが少ないのです。
ただ、パニックゾーンだけでは、チャレンジができないので、ストレッチゾーンとコンフォートゾーンが必要なのです。
危なくなったら安心安全な場に逃げられるし、自分のうしろに安心安全な場があるとわかっていれば、チャレンジができます。
だから、安心安全なな場を作ることが大切。
安心安全な場をつくるための方法も書かれていました。
声の大きさ、穏やかな話し方を意識します。
筆者の経験として、生徒から‘本当に怒らないのは先生が初めて‘と言われたというのは、すごく印象に残る内容でした。
やり方やスキルをどれだけ学んでも、マインドがしっかり変わっていないと、知らず知らずのうちに、生徒を見張ってみたり、態度で圧力をかけていたりするものなんだと思います。
私もアプライドインプロを通してマインドを体感できるからこそ、表現方法が変わると実感しています。
まとめ
本の中では、実際のやり方もかかれているので、ぜひ読んでほしい。
この本から感じたことは、学びの場を作る人が、(教えることはもちろん必要な時があるが)‘教える‘にこだわりすぎず、今目の前の学びのために、どう展開するか?を考えるマインドを持つことだと思いました。
改めて、気づかされる本でした。